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第23話 二人きりの休日

Auteur: 板野かな
last update Date de publication: 2026-09-21 17:00:41

 数日後。

 この日は珍しく、朔さくが朝から軍服を着ていなかった。

「兄様、今日はお休みなのですか?」

「ああ」

 朝餉の席で小夜さよに尋ねられ、朔は味噌汁の椀を置いた。

「夜までは何もない」

「まあ!」

 なぜか、小夜の顔がぱっと輝いた。

「でしたら、お二人でお出掛けになってはいかがです?」

「……なぜそうなる」

「だって兄様、麗香姉様とお出掛けになったことがございませんでしょう?」

 その言葉に、麗香は箸を止めた。

「せっかくの春ですもの。麗香姉様も、御影家へいらしてからゆっくりお出かけされていないでしょう?」

「ですが、小夜さん――」

「私は今日は女学校のお友達と約束がありますので、ご一緒できません」

 逃げ道を先に塞がれた。

 麗香は困って朔を見る。

 目が合った。

 その瞬間、先日の湯殿の前で見た姿が脳裏を過ぎる。

 濃紺の浴衣。

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